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新年のご挨拶2025.01.06

築25年以上になる歯科医院です
まだ正式に独立する前に相談を受け設計に取り組んだ初の物件なのですが、基本設計途中まで勤務しながら図面を描いた記憶があります。そして前事務所を晴れて円満退職し事務所を立ち上げた記念すべき物件なのです。

写真はつい先日の年末に撮影しました。外壁にウエスタンレッドシダー材を使い、この外観の影響なのか工事中は近隣の方々から「喫茶店ができるのかしら」と噂されていた歯科医院らしからぬ外観です。外部に木材を使っているのでノーメンテナンスと言う訳にはいきません。今まで木材の防腐塗装を3回ほど施すなど手入れをしていただいています。そしてアプローチ部にはバラを植え、少しでも患者さんの不安を払拭できる癒し空間となりました。以前はこの医院で年末ギターコンサートも催すほど待合室も居心地のよい空間になっています。これが縁で住宅を建てるお客様から声掛けして頂きましたが、25年以上の歳月で、このような設計依頼やご紹介頂きながら営業活動もせず幸運にも現在に至っております。本当にありがたいことです。2025年も第一号の歯科医院の気持ちを忘れず設計に取り組む所存です。偶然なのか今年の引き渡し第一号が歯科医院というのも運命を感じているところです。前置きが非常に長くなりましたが、本年もどうぞよろしくお願い致します。

星空を見上げて思うこと2024.12.22

空気が澄み渡る冬の夜空を寒さに耐えて天体観測を堪能してきました
木星の縞模様や周回する衛星、そして土星の環と衛生がとても幻想的に見えた。夜空を見上げた各々小さな惑星の光が望遠鏡によりテレビなどで目にするあの姿となって目に飛び込んできたのです。そこにはTV画面で見る映像とはまるで異なる感動があった。また金星は月と同じように満ち欠けがある事を初めて知り、欠けている金星の姿も見る事ができた。

この観測会では宇宙の物理的法則が地球にあるモノ、コトにも同様な働きがあるのだろう。この美しい惑星たちを眺めていると、改めて人が美しいと思える形は力学的に均衡が保たれている姿であると改めて実感した。もちろん建築美も同様ですね。不均衡な形や不適切な材料を使う事は一瞬人目を引く形態である反面、長く見ていると飽きや疲れがでてくるのだろうと今回の星を見上げながら考えさせられた夜空でした。

お客様を向かい入れる玄関2024.12.11


玄関はいわば「その家の顔でもある」とよく言われますが、私もそう思います。
家を訪れて最初に目にする玄関扉。家主が出迎えるまで来客者は玄関扉とその周辺に目を向けると思います。「あー素敵な玄関!」と思える空間には玄関扉が一翼を担います。最近の既製品玄関扉でも良いものが有りますが、私はいつも個性が出るオリジナル玄関を推奨しています。素材はやはり暖かみのある木製がいい。木製だからメンテナンス性はアルミなどの扉より劣りますが、玄関扉の位置や陽射し、そして雨が入り込まない工夫をすれば、あまり維持にも手間が掛からないものです

そして道路から玄関扉が見えない工夫も重要です。これでその住宅の趣が良くなります。そして玄関を開けた時、室内が道路から見えない事は防犯面でもメリットがありますね。

我が家の玄関扉に今年もリースが飾られました。この扉も既に30年近く経過していますが、再塗装を施したのは一回だけ。埃まみれで汚れたアルミ玄関より、少し古さもある玄関扉がなぜか飾り物に合うのと思うのは私だけでしょうか。

現場が最後の砦2024.12.03

歯科医院の工事が進んでいます
独立する前の職場の所長から「現場が最後の砦」と良く聞かされていました
これは設計段階で間違えても現場で何とかカバーできるけれど、現場でミスしたらその設計は失敗に終わる。ということ。
この現場でも天井内にある空調機械と照明器具と一部干渉しているところがあったり、現場での微調整は必ず必要です。軒裏に張る木板も張られていよいよ来年の引渡しに向け作業が忙しくなります。

Instagram始めました2024.11.23

遅ればせながら
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「ひとり」での食事2024.11.18

毎月事務所へ送られてくる照明機器メーカーの冊子にこんな事が書かれていた

ひとりで食事をする事に「淋しい」と思わない人が増えている。スーパーやコンビニあるいは宅配で購入済みのお弁当やお惣菜を食べる事が圧倒的に多く、料理を作るという文化が衰退しつつある。と

これを住宅設計に目を向けると…
そのうちキッチンが不要になる?
冷蔵庫が大きくなるのか?
「ただいま」と帰ってきてもキッチンからの匂いが無くなってしまう!

人生で食べる事は楽しい事であり健康に暮らせるうえで大切な事。
食材を吟味し、その味を楽しみ、旬なものを大切にする
そんな料理を楽しむ食文化がこの先ずっと続くことを願いたい。
そして設計者として食べる楽しさや作る楽しさを建築空間の工夫で表現できたらと思う


(写真は長野市の外断熱住宅)

スカイハウス2024.10.05

スカイハウス
30年以上も前のこと、文京区で設計打合せをした際、偶然見つけた名建築「スカイハウス」
確か雨降る日だったと思います。久しぶりの再会に今は少し寂しい感じの佇まいですが、どこか威風堂々としているように私には見えました。

当時、帰り途中、雨の護国寺を通りかけた私の目に、若者(当時私も若者でした)が叫び声を発し泣いている情景が飛び込んできました。

そう、尾崎豊の告別式を目の当たりにしたのでした

この住宅は雨のスカイハウスといった印象が私の心に強く残っていますが30数年ぶりのこの日は大雨予想が外れた曇り空でした。

#スカイハウス
#建築家
#菊竹清訓
#尾崎豊
#護国寺

たとえばキッチンウェア2024.09.16

最近珈琲ドリッパーを替えました。
その名も「フラワーリブ」些細な買い物ですよね。

でも満足度というか幸福度がそれ以上に増すことがあるのです。私の場合。
毎日の珈琲担当が私だからなのか、珈琲を淹れる時、そしてじっくり味わう時、室内の環境を良くすることでもっと生活に潤いが生まれると私は思うのです。部屋が雑多なモノで溢れ落ち着きが無かったり、不要なテレビから雑音が響いていたり…そんな部屋で淹れた珈琲は落ち着かず気分的に美味く感じられないのではないでしょうか。

このような些細な感性が実は建築設計でも必要なのです。安さを追求するあまり、間取りや窓の位置が決まっている規格住宅が見受けられますが、それは周辺環境に配慮していない「寝て」「起きて」「食事をする」機能だけの住宅のように見えてしまうのです。
しかし料理が好き、車が好き、読書が好き. etc. その人の秘めた生活や趣味が必ずあるはずです。その個性を生かす住宅を考える時、予算以外に太陽光の位置、風の通り、音、匂い、隣接する住宅環境、窓から見せたい(あるいは見せたくない)景色など豊かな生活を送るためには欠かせない感性ですね。
最近予算に厳しい物件が多く、工事費を重点的に考える時間が多くなってきましたが、それでは建築家の職能として欠けていると感じたと同時に、いつまでも豊かな暮らしを感じ取れる感性を失わない気持ちでいたいと改めて思わせてくれた珈琲ドリッパーでした。

 

冷房のこと2024.08.28

ジリジリと陽射しが強い夏は一日家の中で好きな事をしたい時がありますよね。

部屋では好きな読書や書き物など。あまり知られていない空調機かと思いますが、そんな時は冷暖兼用のパネルヒーターを選択肢として考えてみてはいかがでしょう。特に冷風が苦手なタイプであればお勧めです。写真のような格子状のパネルに冷水(不凍液)を流すことで結露を生じさせ除湿をするものです。

室温は25-27度程度までしか下げる事が出来ませんが、輻射冷房のため暑くも寒くも無く非常に快適です。この冷暖房機は弊所に採用した機器ですが、室温・湿度が一定で体の負担が少なく仕事が捗ります。ただ、直射日光がサンサンと入る場所は外付けブラインドなど日差しを調整する工夫が必要です。

いっぽう我が家では20数年前から一般的なエアコンを採用し
その結果「暑い!」「寒い!」「風が当たる!」のつぶやきが一日何回も…

断捨離2024.08.19

事務所の出来事なのですが、夏季休暇を利用して今まで作ってきた模型を思い切って全て処分しました。

事務所の断捨離のため、そして頭の中のリセットのためです。更に別の理由もあるのです。ここ数年の間に模型を作る機会がめっきり減ってきたのです。というのも今までは物件ごとに建物のプロポーションや室内から隣家がどう見えるかなど模型で検討してきました。

もちろん依頼者に説明するためにも大切な作業のひとつでしたが、今はPC上で仮想空間など、より現実的な建築空間が確認できる事が理由のひとつです。もう一つ処分の理由は、事務所に残された模型はコンペで選ばれなかったものや発注者と意見の食い違いから実現しなかった模型がほとんどで、別の場所でその案の一部を使えないか、などなど未練タラタラな状況の打破も理由なのです。

と言う訳で、事務所内が随分とすっきり、そして私の頭の中もすっきりした盛夏の とある日の出来事でした。

 

養蚕集落と鉄山と鉄馬(オートバイ)2024.08.12

この夏、5月の連休以来のツーリングに出かけました。昨年は東北を3日間巡ってきましたが、今年は台風、地震など不安があり大人しく日帰りで集落を散策してきました。
今回は夏の晴天に恵まれた日だったので、本能的に涼しい里山方面へ向けてオートバイを走らせました。目的地は群馬県の山と川に恵まれたところ。まずはツーリングの人気ルートで有名な嬬恋パノラマラインをのんびりと高原野菜を散策しながら走り、途中休憩しようと広い空き地を見つけバイクを停めたところ先客が休憩中。イギリス製バイクでソロツーリングを楽しんでいるという名古屋から来た方と暫し談話を楽しみました。「長野はいいですね。少し走れば気持ち良いツーリングルートがあり」「あの山は浅間山ですか?」, etc.

高原で休憩後、最初の目的地へ。群馬県吾妻にある重要伝統的建造物保存地区に選定された「六合赤岩地区」を散策しました。ここは養蚕が盛んであった集落で、いぶし瓦と漆喰壁で統一された自然風景に溶け込んだ集落でした。道は細く曲がりくねり、そしてアップダウンもある集落は造成などされず自然のままの良い雰囲気。丁度お昼ごろの散策だったのか、人影が見当たらず残念でした。夏の正午の晴れた日差しは強烈で、水分補給をしたいと思ったところ、本を無償提供している本小屋を発見。小屋前のベンチに腰掛け暫し水筒に入れてきた冷たい麦茶を飲みながら、静かな集落で目と耳を澄まし休憩していると、ガラス戸の開閉音や鳥のさえずりが聞こえてきました。人の営みと動植物の生活が調和しているように聞こえたのは私の思い過ごしでしょうか。そこには電子音の無い、とても癒しの場に思えました。

その後、集落の近くに「旧太子駅」があり向かいました。ここは昭和45年まで旅客として営業されていたようですが、その前は鉄石?運搬用の駅だったようです。

線路と並行して残っているコンクリートの構築物は恐らく鉄石(鉄粉?)を下の運搬車両に落とすための施設かと。帰り際にこの受付をしていた女性に近くの集落について話したところ、どうやら保存地区に住んでいる方のようでした。最後に集落の住民と話が出来て良かった!


この後、四万温泉で汗を流そうと考えていましたが、余計に汗が出そうなので帰ることにしました。帰りは草津温泉から志賀草津ルートを走り夕方帰宅。
20年前から今回のように細い路地を散策できる移動手段としてオートバイを乗り始めましたが、この日は道中「立ゴケ」しそうな場面も数回あり危険を伴うことに我ながら認識。帰路の頭の中ではオートバイを降りようか、もうしばらく乗り続けようか迷い続けた日でした。そしてその結論にはしばらく時間が掛かりそうです。

知恵を絞る2024.08.05

節目の年齢となったタイミングで同年の友人たちと食事会をした。「当日は500円以内のプレゼントを持ってこい!」との指令を受け、(いまどき500円では何も買えないぞ)と思ったが、ここは敢えて【知恵を絞り工夫しろ!】との奇問だと解釈した。

建築設計でも予算は大切な要素です。今回の指令も「理想の住宅を3000万円で設計してください」と言われたのと同じですね。
設計の仕事は、言われた事を言われた通り図面化する仕事ではなく、知恵を絞り良く考えて、考え抜いて希望以上の建築を創造する楽しい仕事なのです。街を見渡せば窓や玄関の位置がなぜここに?なんて思う事もしばしばありますが、これも熟慮した設計なのかな。

この指令を挑発と受けた私は、プレゼント選定にあたり選定方針を「60」「赤い色」「長生き」そして「500円」と決めデパートなどを物色し、安売りしていた600円の商品を手に入れた(安売りを探すのも工夫のひとつ!)当日、無記名のプレゼント交換で喜ばれるもモノ、首をかしげるモノなど様々な表情を受け取る側で垣間見られました。そして私のプレゼントはどうやら微笑みがあった?ように感じられた?(何をプレゼントしたかは秘密です)

頂いたプレゼントは手前のカード立て。青色の球体は地球です
気に入ってます